不整脈治療

カテーテルアブレーション:心筋焼灼術

不整脈の治療には薬物治療以外にカテーテルアブレーションと呼ばれる方法があります。治療用カテーテルで不整脈の原因となっている心筋内の異常な電気興奮の発生箇所を焼き切る治療法です。

薬物治療はあくまで継続することで不整脈を抑え続ける治療ですが、カテーテルアブレーションは根治を狙うことができます。

治療用カテーテルを太ももの付け根から血管を通じて心臓に挿入します。カテーテル先端から高周波電流を流して、不整脈の原因になっている心筋細胞を凝固壊死させます(心筋焼灼)。

不整脈の種類によりますが、手技時間は1時間半から3時間ほどで、局所麻酔や静脈麻酔で行います。

カテーテルアブレーションの適応は不整脈の種類、自覚症状、心機能、年齢、患者様の希望などを考慮して決めます。自覚症状が強く薬では不整脈を抑制できない方や、できる限り薬を飲みたくない方に対してはアブレーションにより不整脈を根治・抑制できればメリットが大きいと考えられます。

カテーテルアブレーションの対象となるのは主に脈が速くなるタイプの不整脈です。心房細動、心房粗動、心房頻拍、発作性上室性頻拍、心室頻拍などです。期外収縮という脈がとぶタイプの不整脈にも行うことがあります。

カテーテルアブレーションの成功率(根治または軽快)は施設により異なりますが、おおよそ以下のようになります。


ペースメーカー

正常な成人の心臓は1分間に約60~80回収縮して血液を送り出しています。この心臓の収縮は心臓の右心房上部にある洞結節で発生した規則正しい電気的興奮が、心房内の伝導路、房室結節、心室内の伝導路を伝わり(刺激伝導系)、心筋に伝達することで起こります。 心房と心室は一定の間隔をおいて順番に収縮して、効率的に血液を全身に送り出します。

洞結節の異常で、電気的興奮が起こらない、または起こりにくい状態(洞不全症候群)や、刺激伝導系の途中が切れて、心室に興奮が伝わらない(房室ブロック)などにより、脈が遅くなる病気があります。
ペースメーカはこのような徐脈性不整脈における心拍リズムの異常を補正します。

ペースメーカーは本体とリード(導線)で構成されます。本体には電池と電気回路が内蔵され、重さは20gほどです。リードは先端部分に電極があり、その部分が心臓の筋肉に接して、電気刺激を伝えます。ペースメーカ本体とリードは、手術により体内に完全に植込まれます。

ペースメーカー植込み術は、まず局所麻酔で鎖骨の下を通る静脈にリードを挿入して、心臓の中に到達させます。ペースメーカ本体は胸部(鎖骨より下の皮下)に植込みます。手術にかかる時間は30分~1時間ぐらいで、入院期間は最短で2泊3日です。

ICD(植込み型除細動器)

心室頻拍や心室細動などの致死性不整脈と呼ばれる病気は、発作が出ると突然死に至る可能性があるため、確実に不整脈を止める必要があります。ペースメーカーと同じようにICDを植え込むことで、危険な不整脈発作がないかを常に監視し、発作があれば心筋に電気刺激を与えて発作を止めることができます。

CRT(心臓再同期療法)

心臓のポンプ機能が低下している心不全の状態では、本来ならほぼ同時に収縮する左右の心室が、タイミングがずれていびつな動きになっている場合があります。左右の心室の動きを同期させて効率の良いポンプ機能が得られるようにする治療が心臓再同期療法です。上記のペースメーカーに、左心室を刺激するためのリードを追加したもので(CRT)、植込み型除細動器の機能をあわせ持った機器(CRT-D)もあります。

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